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大阪で1級建築士事務所ヒモトタクアトリエを主宰する樋本拓のブログ。現場記録や、創作過程での考えを書きとめ、見つめるための建築ノートです。それがお施主様の思いを実現する建築の一助になると信じます。


by himoto_atelier

ペーパーブリッジ対決

 先日、この夏に大量購入したペットボトルの水が全てなくなり、大量にペットボトルが必要だった理由を思い出し、しばし懐かしんでいました。
 それは、小学生の娘の夏休みの自由研究です。(それを含め絵画2枚に習字、ドリルなどたくさんの宿題は、子供と共にどんよりと背中にのしかかるのですが、これこそが親子のコミュニケーションではと、逆に楽しんでみました。)

 自由研究のテーマは、ペーパーブリッジ対決。NHK教育の「すイエんさー」という番組(ペーパーブリッジ対決で「すイガール」という女の子たちが、東大生に勝ってしまうという大番狂わせとなった。)をよく見ている娘は、嬉々として、番組を見ていなかった私は、「すイガール」に勝てるペーパーブリッジはないものかと好奇心から、ちょっと難しいかなと思いつつも挑戦してみました。

 ルールは、25cm離れたところに15枚のA4のコピー用紙で作った橋を架けて、おもり(ペットボトル)をぶら下げて、その強度を競うというもの。使用できる道具は、スティックのりとはさみだけ。

 娘は、「すイガール」と同様、紙を丸めて束ねる橋(桁方式)。
ペーパーブリッジ対決_a0265334_8381841.jpg

 断面係数を考えると縦長断面の方が有利だと思い、2種類つくりました。(一度壊れて、折れ目がついてしまうと、もう実験には使えないので、何個も作成することになり、ことのほか苦労しました。)
ペーパーブリッジ対決_a0265334_8392246.jpg

 縦、横2回行ったのですが、結果は、縦が、1回目2L-6本、500ml-1本、2回目2L-5本、500ml-2本。
写真は1回目。
ペーパーブリッジ対決_a0265334_849135.jpg

 横が1回目2L-6本、2回目2L-5本、500ml-2本で、ほとんど変わらず。写真は1回目。
ペーパーブリッジ対決_a0265334_8491162.jpg

 それぞれの部材(筒)が一体化しているわけではないので、1本が負担する応力も変わらないのかもしれません。それよりも、施工精度による1回目と2回目の違いの方が大きいという結果になりました。

 で、私の方は、紙が引っ張りに強いので、曲げの力を引っ張り力に変換していくようなトラス構造を利用した橋(トラス方式)を考えました。(東大生がどのような橋を作ったのか、娘は覚えていませんでした。)
 
 しかし、作ってみると、A4サイズ(210*297)で25cm、15枚、スティックのりだけでセロテープ等は使えないという条件は、かなりシビアでむずかしい。トラスを構成するのに部材同士の結合が難しく、そのための紙も必要になるので、部材に使える紙がへるという矛盾も生じます。
 まずは、単純に3枚の紙を端を重ねて丸めて、長い棒を作って、折って作った三角形を4つ重ねた橋をつくりました。2リットルのペットボトルを2本載せると横に転んであえなく落下。面外方向へのバランスが悪い。
ペーパーブリッジ対決_a0265334_8492613.jpg

 次に、引長側(三角形の底辺)の部材には、十分余力があるので、紙をやりくりして、棒を一つ増やすと、2リットルのペットボトルを4本目で、おもりの紐がふれている部分が座屈して、あえなく落下。
ペーパーブリッジ対決_a0265334_8493321.jpg

 より圧縮材にかかる力を分散した、小さなトラス構造を作るために、引張材につかっているA4用紙の真ん中だけ切り取り、長さは変えないように、紙を捻出。橋は結構耐えたが、2リットルのペットボトルを6本目で突然落下。
ペーパーブリッジ対決_a0265334_851360.jpg

 曲げの力ではないので、たわむことなく突然落下してしまい、500ミリリットルのペットボトルを使うのを忘れ、どこまで、桁方式に迫っていたのかは分からずじまいでした。最初に比べて、なんとか同じような強度までいったと喜びつつも、この勝負、敗北。007.gif 娘の勝。003.gif

 つまり、同じ質量ならトラスの方が強いと思っていたのですが、適材適所に力を配分できなければ、またそのように工作できなければ、単純に丸めた紙を並べているだけの方が、効率的に力を分配していることになっているといえるようです。
 
 この後娘と近所の橋の写真を撮りに行きました。娘が、どれだけ理解して楽しめたのかは分かりませんが、実験そのものは楽しんでいたようで、また、曲げ、圧縮、引っ張り、せん断の4つ力があって、色々な形の橋があることは、感覚的に分かった(体感できた)ようで、私にとっても夏の思い出の一つとなりました。
by himoto_atelier | 2013-10-12 08:53 | 日常 熊取 その周辺

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